南アフリカW杯
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岡崎年間２ケタ弾カズ以来／アジア杯予選

: 後半３３分、ハットトリックを達成し、飛行機ポーズで駆け回るＦＷ岡崎

＜アジア杯最終予選：日本６－０香港＞◇８日◇Ａ組◇アウスタ

　ＦＷ岡崎慎司（２３＝清水）が、日本代表の国際Ａマッチで９年ぶりのハットトリックを決めた。前半１８分、スルーパスに抜け出し先制ゴールを挙げると、後半３０、３２分と立て続けにゴールを決めた。９月９日のガーナ戦に続く２戦連発で、今年に入ってから国際Ａマッチ１３試合１１得点。６７、７２年の釜本邦茂、９３、９７年のカズ（三浦知良）以来となる年間２ケタ得点に到達した。清水のホームのアウスタで岡田ジャパンのエースの座をがっちりとつかむ決定力の高さを見せつけた。

　エースの風格漂うゴールだった。前半１８分、ＭＦ長谷部のスルーパスを受けた岡崎はＤＦラインの裏へ抜け出すと、軽々と先制点を決めた。所属する清水の本拠地アウスタで、サポーターの声援を心地よく受けた。

　４－０の後半３０分にはＤＦ徳永の右クロスを頭でたたき込む。その３分後にはＦＷ佐藤のシュートのこぼれ球を右足で押し込んだ。Ｊリーグも含めプロ初のハットトリックを国際Ａマッチで達成。日本代表では００年１０月１７日アジア杯ウズベキスタン戦（８－１）で西沢と高原が決めて以来、１８人目で通算２９度目の快記録だ。

　岡崎　日本平（アウスタ）で決めることができ、本当にうれしい。今日だけはうれしさにひたりたい。

　これで今年に入って国際Ａマッチ１１得点。年間２ケタ以上は６７、７２年の釜本、９３、９７年のカズに次ぎ３人目、通算５度目の離れ業でもあった。うれしさの余り、記念のスパイクをロッカールームに忘れた。ＤＦ中沢にバスの中で手渡され、頭をかいた。岡田ジャパンのエースの座をがっちりつかむ活躍を見せ「記念もそうだし、記憶に残るゴールを決めていきたい。１試合に１点は必ず取る選手になりたい」と堂々と言った。

　日本で最も決定力の高いＦＷも、少年時代は気が弱かった。小学３年の時に初めて出場した公式戦では、ＧＫでもないのに、ゴールのそばを離れる勇気がなく、ずっと自軍のゴール前で守っていた。攻めればいいのに、ゴールを決められるのが怖かった。だが、今では相手のゴール前に頭からでも飛び込むプレースタイルが売りの「侍ＦＷ」へ成長した。

　オランダ遠征では自慢の泥くさいプレーが通用しなかった。滝川二高時代の監督だった黒田和生氏（現神戸Ｕ－１８監督）の言葉を思い出した。「どんなファウルを受けても簡単に倒れるな。絶対に審判にアピールするな」。果敢にゴールへ向かうプレーを取り戻そうと決意。意識の高さが、３発につながった。

　夫人と日本代表の試合を初観戦した今年１月に生まれた長男刀也（とうや）君にゴールのプレゼントを贈った。岡田監督からは「最も安定している。大変喜ばしい」と絶賛された。だが、反省も忘れない。後半の決定機を外した場面を振り返り「相手がそんなに強くなくても、決めるべき時に決めないといけない」。Ｗ杯４強を信じて、「侍ＦＷ」はこれからもがむしゃらにゴール前へ飛び込んでいく。【奈島宏樹】

　［2009年10月9日9時28分　紙面から］