南アフリカW杯
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稲本復活、Ｖ弾＆同点アシスト／親善試合

: エシアン（右）をかわし、勝ち越しとなる４点目のゴールを決める稲本

＜国際親善試合：日本４－３ガーナ＞◇９日◇オランダ・ユトレヒト

　日本代表ＭＦ稲本潤一（２９＝レンヌ）が復活のゴールだ！　ガーナ戦の後半１８分から途中出場。同３４分にＦＷ岡崎の同点弾をアシストし、４分後には決勝弾を決めた。１ゴール１アシストの活躍で、４－３の大逆転勝利を演出した。Ｗ杯を２度経験したボランチも近年は代表での出場機会が激減。今年１月２８日のアジア杯予選バーレーン戦以来の出場で、代表では約６年半ぶりのゴールだった。１８日に３０歳になる元祖「ワンダーボーイ」が、生き残りをかけた必死のアピールに成功した。

　稲本がよみがえった。１－３から追いつき、完全に日本に流れが向いた後半３８分。左からのパスを、ペナルティーエリア付近で流れるように受けた。チェルシーのＭＦエシアンとの１対１。ゴールへのわずかなすき間を見つけ、右足で豪快に逆転弾を決めた。まばらな観客は大興奮。ガーナ人の放送局リポーターでさえ「イナモト！　グレート・ゴール」と叫んだ。

　これぞ稲本だ。後半１８分から途中出場し、同３４分には左からのクロスで岡崎の同点弾をアシスト。アフリカの強豪の身体能力に圧倒されて敗戦モードの中で、リズムを引き戻した。代表でのゴールは０３年３月２８日の親善試合ウルグアイ戦以来、６年半ぶりだった。

　稲本　代表で（試合に）出たのは久しぶりですから。とりあえず今日は自分としては良かった。次もどれだけ、厳しい環境の中で試合に出られるかが勝負。次もまた（代表に）呼ばれるか、分からないですが。

　苦しい時間を過ごしてきた。０１年に２１歳でアーセナルに移籍。０２年Ｗ杯日韓大会は２得点を挙げ、脚光を浴びた。それが近年は代表で定位置をつかめない。昨年９月のＷ杯アジア最終予選バーレーン戦、今年２月の同オーストラリア戦は招集されながらベンチ外。ジレンマと闘い、自分の存在価値を見いだそうと必死だった。

　今遠征中もいつも練習は控え組だったが、大声を出して若手選手を鼓舞した。積み重ねてきたプライドがあっても、決して腐らない。その姿に岡田監督は「尊敬できる人間だ。何が求められているのかを分かっている。彼はまだ伸びる」と最大級の賛辞を送った。

　稲本　前半に点が取れればね。今までもそうだし（決定力不足は）日本の永遠の課題。それに今の代表は、静かなチーム。自分で声を出すことは今までなかったですけど、それでチームが上向くなら僕はやる。

　２０代前半から強烈な輝きを放った元祖「ワンダーボーイ」も１８日で３０歳になる。自分のためだけでなく、日本のために－。ベテランの域に達した稲本が、南アフリカへと続く道を歩んでいく。【益子浩一】

　［2009年9月10日8時34分　紙面から］