南アフリカW杯
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大黒柱だ闘莉王つかんだ夢舞台／Ｗ杯予選

: 岡田監督を中心にペットボトルの水をかて大喜びの日本イレブン

＜Ｗ杯アジア最終予選：日本１－０ウズベキスタン＞◇６日◇Ａ組◇タシケント

　日本代表ＤＦ田中マルクス闘莉王（２８＝浦和）は、岡田監督のもとに駆け寄って両腕で力いっぱい抱え上げた。０３年１０月９日の日本国籍取得から２０６８日目。夢舞台へチームを、そして自分自身を導いてくれた指揮官への感謝を込めて、３度胴上げした。「自分としては一番必要とされるときに、力を出し切れた。生きた感じがします」。長髪をジャパンブルーの髪留めで結び、白地に赤いロゴの日の丸カラーのスパイクを駆って、守りきった。

　不安と背中合わせの激闘だった。５月２４日の大宮戦で左太もも裏を負傷した。ウズベキスタン戦に間に合うのか。焦りが募ったが「足が壊れても戦う」と、２度の精密検査を経て同３１日のキリン杯ベルギー戦で戦列復帰。この日は前半５分に最後方から左サイドを駆け上がって攻撃参加すると、同１５分の相手ＦＫには頭から突っ込んでクリア。試合中に左足首を痛めながらも、終盤の劣勢には何度も大声を張り上げて、味方を鼓舞した。「みんな最後の最後で守りきるという初めて強い気持ちを感じた」。

　普段は陽気な男が、決戦直前は１人で過ごす時間が増えた。周囲に近寄りがたい雰囲気すら漂わせた。心静かに、１６歳で故郷のブラジルを飛び出してから１日も忘れたことのない家族や友人、そして言葉や文化の違いに戸惑いながらも自分を励まし、育ててくれた日本での日々を振り返った。「僕を支えてくれたみんなに感謝したい」。国境を越えて闘い続けた男が夢をひとつ、かなえた。

　［2009年6月7日8時26分　紙面から］