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第18回ドイツ大会
ジダン頭突き退場で幕

 「偉大な英雄」が一夜にして「世紀の愚か者」に転落した。

 決勝戦を報じた日刊スポーツの原稿は、上記に書き出しで始まった。

 絶対的な司令塔ジネディーヌ・ジダン(当時34)が率いるフランスとイタリアの決勝戦。堅実な守備を誇る両チームだけに、1点を争う好勝負になった。先制したのはフランス。前半7分、PKをもらったジダンがキッチリと決めた。しかし、同19分には、イタリアのDFマテラッツィが同点弾を放ち、前半は1-1で終了。後半に入っても、フランスもイタリアもゴールを割ることができず、決勝戦は延長戦へと突入した。

 そして事件は延長後半5分に起きた。"主役"は得点も決めたジダンとマテラッツィ。突然、ジダンがマテラッツィの胸に頭突きを浴びせた。ピッチに倒れ込むマテラッツィ。そのシーンは、大会が終了したあとも、繰り返し繰り返しテレビで流された。ジダンは暴力行為で退場処分。勝負どころでのエースの退場で、試合も1-1からのPK戦の末にフランスは敗れた。

 家族を侮辱する発言があったとの推測が有力だった。しかし、試合をぶち壊した行為にジダンを非難する声が圧倒的だった。FIFAのブラッター会長は「彼の気持ちは理解できるが、行為は許すことはできない」と手厳しかった。フランス紙レキップは2ページを割いてジダンを厳しく糾弾。「世界中の子供たちに、あの頭突きをどう説明するのか。偉大な選手に値しない」と酷評した。

 ジダンは泣いた。表彰式は欠席した。チームは予定していたパリのシャンゼリゼでのパレードを中止した。そして、ジダンは現役に幕を閉じた。


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