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第9回メキシコ大会
交代枠、イエローカードなどルール改革

 70年代を迎えて、サッカーは新しい時代に入った。この大会から導入されたシステムも多かった。

 まず、各チーム2人までの交代が認められることになった。これまでは1人が故障しても、チームは1人少ない状態で戦わなければならなかった。このため、相手チームの主力選手を意図的につぶす行為も目についていた。66年大会ではブラジルのペレが狙われ、負傷させられた。それが不公平、危険、そしてファンの興味をそぐという声が高まっていた。そこで、2人までの交代枠が設けられた。

 イエロー、レッドのカードが使われるようになったのも今大会から。これまでは警告、退場がファンや選手に分かりづらく、物議を醸す一因になっていた。66年大会ではアルゼンチンのラティン主将が退場の宣告を拒否。言葉が通じず、しばらく試合が中断するという事件も起きた。一見、前近代的な方法に見えるカード提示だが、言葉の代わりに黄色や赤のカードで意思の疎通ができる。観客にも内容が分かることで、現在でも続けられている。

 このような改正が行われた大きな理由の1つに、テレビ放送の拡大がある。スポーツの本格的な衛星中継は64年の東京五輪で初めて行われ、W杯は66年のイングランド大会が最初だった。そして、続くこの大会から米大陸でも中継されるようになり、炎天下の12時キックオフというリスクをおしてまで欧州でのゴールデンタイム放送にこだわった。テレビ東京系列の「ダイヤモンドサッカー」も、初めて(ライブではないが)全試合を放送。世界中の茶の間に、W杯が浸透し始めた大会だった。


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