俊輔カタール“弾丸合流”へ空の便手配
日本代表の岡田武史監督(52)が27日、11月19日のW杯アジア最終予選カタール戦(ドーハ)に備え、MF中村俊輔(30=セルティック)を弾丸合流させる考えを明かした。都内のJFAハウスでスタッフ会議を開き、今後の日程を確認。16日のリーグ戦直後に中村俊を少しでも早くカタールに移動させるため、日本協会を通じてヘリコプターやプライベートジェットを手配することを示唆。司令塔を加えた練習時間を確保して、勝ち点3獲得を狙う。
背水の陣を敷く戦いに、ぶっつけ本番で臨むわけにはいかない。約5時間のスタッフ会議を終えた岡田監督は、中村俊の合流時期について「ヘリコプターとか、落下傘で飛び降りるとか用意してもらわないと」と冗談めかしたが、目は笑っていなかった。通常の移動手段だと、中村俊のチーム練習合流は、試合前日の18日。選手の招集では前代未聞の「特別機」を検討しなければならない状況なのだ。
国際サッカー連盟(FIFA)の規定で、中村俊はアウェーで16日午後2時開始のハミルトン戦までクラブに拘束される。試合後のクールダウンや入浴、メディア対応時間を考慮すると、グラスゴーからヒースロー空港を経由してドーハへ飛ぶ、午後9時半発の最終便に間に合わない可能性がある。「グラスゴーからのフライトがない。できるだけ早く合流できるようにしてもらう」と日本協会を通じて、特別機を手配できるよう、クラブや旅行代理店と検討に入った。
利便性が高いのは、ヘリコプター。04年の東欧遠征中にジーコ元代表監督が、W杯開幕前イベントに参加するためプラハ(チェコ)-ニュルンベルク(ドイツ)間で利用した。当時はW杯組織委員会による手配だったが、協会関係者は「欧州ではVIPがよく利用するし、空港側も発着に慣れている。欧州圏内の移動ならできるはず」という。条件さえ整えば、試合会場の近辺から英国外へ飛び、ドーハ行きの便に滑り込めるかもしれない。
日本代表はホームのウズベキスタン戦でまさかの引き分けに終わり、アウェーのカタール戦が最終予選突破への鬼門となる。司令塔の合流が遅れれば、チーム強化に影響が出るだけに「試合前1日(だけの練習)だと厳しい」と危機感を募らせる岡田監督。特別機の手配が実現すれば、選手レベルでは前例のない特別待遇となるが、勝利のために妥協しない。【山下健二郎】
[2008年10月28日8時16分 紙面から]
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