ジーコの「影」に怯えドロー/W杯予選
<W杯アジア最終予選:日本1-1ウズベキスタン>◇A組◇15日◇埼玉
岡田ジャパンがジーコの「影」に負けた。試合開始から、ウズベキスタンに予想外の激しいプレッシングにあい、リズムを狂わされた。プレッシャーをかけられるともろい「弱点」をつかれ、前半27分に失点。その後に追いついたものの、W杯最終予選初のホームで負けに等しい引き分けに持ち込まれた。先月、元日本代表監督のジーコ氏(55)がウズベキスタン代表のテクニカルアドバイザーに就任。同氏から助言をもらった相手の術中に、まんまとはまった。1勝1分けでA組2位をキープも、岡田武史監督(52)にとっては痛恨の一戦となった。
5万5142人のサポーターの前で、岡田ジャパンはあわてふためいた。試合開始と同時に、ウズベキスタンが強烈なプレッシャーを浴びせてくる。ボランチの遠藤、長谷部が激しいプレスにさらされ、最後尾のDF中沢までもが追いかけられる。ひるんだ選手はバックパスを繰り返し、不用意な横パスをさらわれた。急所をいきなり突かれ、リズムを崩していった。
岡田監督 今までの戦い中で、(ウズベキスタンが)ここまでプレッシャーをかけてきたことがなく、選手が戸惑っていた。悔やまれるのは、少し臆病(おくびょう)になっていたことだ。
これこそが、ジーコ氏が日本代表監督時代に何度も悩まされてきた日本人の弱点だった。相手から厳しいプレッシャーをかけられると、決定的なパスが通らなくなる。パス自体はつながるが決定力不足。ジーコジャパンも何度も酷評されてきた欠点だ。しかも、日本の攻撃の基点となる遠藤らを「狙い打ち」してきたところに、「ジーコの影」を感じざるを得なかった。
岡田監督は「スカウティングには、前からのプレッシャーもあるとあった。そして1試合もたないことも分析はしていました」とも話した。ただ、守りを固めるのがセオリーのアウェーで、相手がここまで前に出てきて守備をするとは予想もしなかったのだろう。選手が臆病になることを防げなかったのは事実だ。
敵将のカシモフ監督は穏やかな顔で言った。「ジーコとはタシケントでゆっくり話をしました。ひとつひとつが役に立ちました」。詳細こそ語らなかったが、具体的な助言があったのは間違いない。同監督は「オーストラリア、カタールと比べると、日本が一番強い。中盤が強い。それが私好みだ」と、岡田監督が聞いたら湯気をたてて怒りそうな余裕まで見せた。ジーコリポートによって、何もかも見抜かれていた。
ジーコ氏がウズベキスタンスタッフに加わることになった時、岡田監督は冷静にこう話した。「ジーコとやるわけではない。ジーコがいるからと言って我々のやり方が変わることはない」。選手たちも「ジーコがいた時から選手は成長している。ジーコは関係ない」と強調していた。しかし結果は、最終予選初戦から2連敗し、後がない相手に、ホームで負けに等しい引き分けを演じてしまった。選手の技量でも、フォーメーションでもなかった。初手に受け身に回ると弱い。ジーコが見抜いていた日本の弱点は、今後、ライバル国にも影響を与えかねない。ジーコ氏は岡田ジャパンにとって、とてつもなく大きな「壁」になった。【井上真】
[2008年10月16日8時50分 紙面から]
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