南アフリカW杯
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岡田監督、守備評価も攻撃が…／親善試合

: イングランドのカペッロ監督（左）ににらまれる岡田監督

＜親善試合：イングランド２－１日本＞◇３０日◇オーストリア・グラーツ

　日本代表が岡田武史監督（５３）就任以来、最も闘う姿勢をプレーに出し、強国イングランド相手に健闘した。２４日の韓国戦で０－２と完敗し、精神的にも自信をなくしていた岡田ジャパンだが、前半７分のＤＦ闘莉王の先制点でチームに回復の兆しが見え、課題のＤＦでもイングランド攻撃陣の前でボールを奪う迫力を見せた。岡田監督は「これで初戦への道筋が見えた」と、Ｖ字回復の兆しを強調。代表チームはスイスに戻り、６月４日のコートジボワール戦で総仕上げにかかる。

　１－２の逆転負けも、内容ではイングランドと互角に渡り合った。試合直後、荒っぽいことで知られるイングランドサポーターは、日本サポーターへのあいさつでピッチに残った日本代表チームに異例とも言える拍手を送った。それだけ、闘志をむき出しに強敵に挑んだ末の１－２敗戦だった。

　試合後、岡田監督は、静かに話しだした。言葉には回復した自信がのぞいた。カペッロ監督から４－１－４－１を「良く組織されているが、９－１かもしれないね」とやゆされたことを受けて「彼が何を言おうが僕には関係ない。友達と思っていたけど違うみたいだね」と嫌みで返した。

　岡田監督　イングランド戦はＤＦにおいてどこまでプレッシャーをかけて、相手に裏を取らせないか。どれだけパスを回して攻めて行けるか。この２つをポイントにした。もう少しできるとは思うが、これで初戦への道筋は見えてきたかな。あとは山（ザースフェー）に戻って追い込んで、（練習量を）落として、小さく山をつくって、初戦を迎える。いい感じになった。

　何よりも岡田監督自身に闘争心が戻ってきた。後半には大久保へのラフプレーを巡り、“友人”カペッロ監督と激しく言い合った。さらに倒れていた大久保に「ヨシト、行け」と、意地を見せろと絶叫するなど、戦いの中に自分を置いて夢中になった。２４日の韓国戦で犬飼会長に進退伺を口頭で言い出した弱気な岡田監督の姿はなかった。

　岡田監督　ハーフタイムでこのまま１－０で守りきるつもりかと言った。もう１点を取れと。ここ（スイス）に来て、『リゾートに来ている訳じゃない』と厳しく言った。韓国に負けてから危機感がなかったので。

　４－１－４－１でＭＦ阿部をアンカーとして置き、それが見事に機能した。「ポジショニングが良かった」と、阿部の健闘をたたえた。また、ＧＫに川島を抜てき。「練習の動きを見て体にのびがあった」と理由を説明した。

　岡田監督　このままズルズルと今までのムードを引きずるわけにいかない。だから長谷部にキャプテンを任せた。中堅どころでチームを引っ張る役割だし、彼にはリーダーシップがある。

　システムを変え、キャプテンを次世代に託し、そしてメンタルで闘志をみなぎらせた。まだまだ足りないところはあるが、岡田ジャパンがＷ杯本戦に出場できるだけの最低限の力を蓄えはじめたと言っていい。【井上真】

　［2010年5月31日9時46分　紙面から］